「今日」から学ぶ。

コーヒーをなぜ「珈琲」と書くのか? – 「10月1日」から学ぶ。

こんばんは。

本日、10月1日(木)。
今年は366日ありますが、今日はその275日目です。

今日も「10月1日」という日から、少し学んでみましょう。

10月1日は「国際コーヒーの日」

さて、そんな本日10月1日は「国際コーヒーの日」です。

コーヒーが飲まれ始めたのは13世紀以降と言われています。つまり、約800年くらいの歴史があるということですね。

そんなコーヒーを祝い、あわせて普及促進のための日が「国際コーヒーの日」です。

なぜ10月1日が「国際コーヒーの日」?

では、なぜ10月1日がコーヒーの日なんでしょう?

これには理由が2つあります。

理由①:コーヒーの年度初め

ひとつは、コーヒーの年度初めが10月だからです。

日本では、学校や会社の年度初めは4月ですよね。4月に入学式や入社式が行われます。(一方海外では、学校の年度初めが9月の国が多いです。)

これと同じように、コーヒーにも年度があり、10月が年度初めであると国際協定によって定められています。

なので、その年度が始まる10月1日が国際コーヒーの日になったわけです。

理由②:日本でのコーヒー需要

また、もう一つの理由として、日本のコーヒー需要が秋~冬に高くなるということがあります。

「国際」コーヒーの日なのに、なんで日本の需要が関係してるんだ?と思うかと思いますが、実はこの「国際コーヒーの日」は日本が発祥なんです。

1983年、全日本コーヒー協会が10月1日をコーヒーの日と定めました。日本では秋~冬にコーヒー需要が高まるので、その秋の始まりである10月1日をコーヒーの日としたんです。

それ以降、日本以外の様々な国でもコーヒーの日が定められていきました。

そして最終的に、2015年に国際コーヒー機関によって10月1日が正式に「国際コーヒーの日」として制定されたわけです。

コーヒーをなぜ「珈琲」と書くのか。

さて、そんなコーヒーですが、喫茶店なんかではよく「珈琲」と表記されますよね。

でも、ふとよく考えてみると、「珈」という漢字も「琲」という漢字も、僕らの日常の中ではまったく見たことがなくないですか?

なぜ、コーヒーを「珈琲」と書くのでしょう?

この疑問を解消するには、少し歴史的なことを知る必要があります。

「コーヒー」を表す漢字は実はたくさん存在していた。

時は江戸時代まで遡ります。

江戸時代と言うと、当時の日本では鎖国が行われていた時代でした。諸外国との関係性を絶っていた時期ですね。とはいえ、実際は海外との関係性を完全に立っていたわけではなく、長崎県の出島で海外とのやりとりが行われていました。

この出島に、オランダからコーヒーがやってきました。

さて、オランダから伝わってきたコーヒー。オランダ語で「koffie(コフィー)」と発音されていました。そしてこの「koffie」を日本に広めるため、どんな漢字で表記するかという作業が当時行われました。

「可否」「可非」「架非」「黒炒豆」などなど、様々な漢字があてがわれました。実際、日本で初めてできた喫茶店の名前は「可否茶館」でした。

でも、どの表記も日本で広く浸透するまではいきませんでした。

造語の天才によって作られた「珈琲」

しかし、そこで現れたのが宇田川榕菴(うだがわようあん)という蘭学者です。

宇田川榕菴は当時、海外の学問に関する書物を多数翻訳し、数多くの造語を作っていました。少し例を挙げただけでも、以下のようにたくさんあります。

  • 水素、炭素、窒素、酸素(元素の名前)
  • 元素、金属、溶解、試薬、酸化、還元(化学の用語)
  • 細胞、属(生物学の用語)
  • 物質、法則、成分、圧力、温度、結晶(その他科学用語)

今では当たり前のように使われている上記の単語ですが、これらすべて、宇田川榕菴が作ったものなんです。なかなかすごい。(なんで歴史の授業で取り上げられないんでしょうね。)

そしてこの宇田川榕菴が、オランダから伝わった「koffie」に「珈琲」という漢字をあてたのです。

「珈琲」に込められている意味

では、なぜ宇田川榕菴は「koffie」に「珈琲」という漢字を使ったのでしょう?

それを理解するためには、「珈」と「琲」、それぞれの漢字についてちょっと知る必要があります。それぞれの読み方に注目してみましょう。

「珈」の音読みは「カ」、「琲」の音読みは「ヒ」です。なので、あわせて「カヒ」となります。「koffie」の当て字には申し分ない音感になるわけです。

そして実はあまり知られていないですが、「珈」と「琲」にはそれぞれに訓読みがあるんです。

  • 珈・・・「かみかざり」
  • 琲・・・「つらぬく」

この二つの意味を合わせると、(女性の)髪を貫く髪飾り、つまり「かんざし」を表しているんです。

「コーヒー」なのになぜ「かんざし」?という疑問が浮かぶかと思いますが、これはコーヒーのもととなる「コーヒー豆」が木に生っている時の写真を見ると少し理解できます。

収穫前のコーヒー豆は、こんな風に色鮮やかに生っているんです。

これが、着物姿の女性の髪を彩る「かんざし」のように美しい、という意味を込めて、宇田川榕菴はコーヒーに「珈琲」という漢字を当てたわけです。

音感だけでなく、その美しさも内包させた「珈琲」という当て字。なかなかすごいですよね。

そしてこの「珈琲」という表記は、日本で広く浸透し、今でも当たり前のように使われているわけです。

最後に。

というわけで、今回は「国際コーヒーの日」ということでコーヒーについてちょっと学んでみました。

思えば「珈琲」っていう漢字も、初めて見たときは「なんでこんな風に書くんだろう?」って思ったものの、日常が流れていく過程で何度も見て当たり前になり、疑問を抱くことがなくなったりしたり。

そうやって疑問を解消せずに飲み込む習慣をつけていると、いつの間にか知的好奇心を失ってしまい、日常から学ぶチャンスを無意識に左から右へと流してしまうんです。

そうならないようにするために、もしくはすでにそうなってしまっていたら取り戻すために、日常の中にあふれている疑問を大切にしていきたいところです。

というわけで今回はこのあたりで。

またお会いしましょう。