こんにちは。
本日、9月15日(火)。
今年は366日ありますが、今日はその259日目です。
そんな「9月15日」という日から、今日も少し学んでみましょう。
9月15日は、ひじきの日。
多分知っている人はほとんどいないでしょうが、本日9月15日は「ひじきの日」です。
「なんで9月15日がひじきの日?」
語呂的にも無理があるのでこんな疑問が沸きますが、このひじきの日が制定された当時、9月15日は敬老の日でした。そしてひじきは昔から「食べると長生きする」と言われていたため、この日をひじきの日として制定したようです。
栄養が豊富なひじき。
「食べると長生きする」と言われるくらいなので、ひじきには非常に豊富な栄養分が含まれています。代表的なものでいうと、以下の通りです。
- カルシウム :1400mg/100g
- 食物繊維 :43.3g/100g
- マグネシウム:620mg/100g
別の食材との比較でいえば、カルシウムは牛乳の約12倍、食物繊維はゴボウの約7倍、マグネシウムはアーモンドの約2倍も含まれているということです。ほかにも、ナトリウム、カリウム、鉄などミネラルが非常に多く含まれています。
また、ひじきにはフコキサンチンと呼ばれる天然の色素成分が微量含まれており、これには脂肪燃焼効果、抗腫瘍作用などがあることが分かっています。今後、サプリメントなどでの活用が期待されている成分です。
と、ひじきを食べることにはかなりの利点があります。
ただ、今回はひじきに含まれる「栄養」の方ではなく、「毒」の方に少しフォーカスを当ててみたいと思います。
ひじきに含まれる「毒」。
ひじきには栄養が豊富に含まれている反面、ヒ素の含有率が高いのが少し懸念されたりもします。
ひじきに多く含まれるのは「無機ヒ素」
さて、ここでヒ素について。
ヒ素って、名前は聞いたことがあるけど、詳しくは知らない方が大半かと思います。
ヒ素というのは、化学的にいえば原子番号33の元素です。性質的には、第15族元素、つまり窒素と同族の元素なんですね。と言っても、これでもやっぱりよくわからないかと思うので、学問的にではなく、ひじき視点でちょっと見てみましょう。
「ひじきはヒ素の含有率が高い」と書きましたが、これはヒ素がそのまま含まれているというわけではなく、ヒ素化合物という形で含まれています。
そしてこのヒ素化合物は、「有機ヒ素」と「無機ヒ素」の2種類があります。見分け方としては、炭素を含んでいるかどうか。炭素を含むヒ素化合物のことを「有機ヒ素」、炭素を含まないヒ素化合物のことを「無機ヒ素」と呼びます。
有機ヒ素に関しては、人体への影響は明確にはまだ分かっていません。ただ、無機ヒ素に比べて人体への害は少ないと言われています。
一方の無機ヒ素は、人体への害があると言われています。摂取による軽めの症状としては発熱、下痢、嘔吐、脱毛などが挙げられます。そして長期間にわたって大量に摂取すると、発がん性があると言われています。
と、無機ヒ素は人体への害があるわけですが、ひじきに多く含まれているのは、この「無機ヒ素」の方なんです。だから、少し懸念されるわけです。
ひじきとの付き合い方。
無機ヒ素が問題視されるようになったのは、2000年あたりです。
カナダのCFIA(カナダ食品検査庁)が2001年、ひじきは無機ヒ素の含有率が他の海藻よりも非常に高いと発表し、消費を控えるように勧告しました。
さらにこの勧告は他の複数の調査によっても証明され、カナダ以外の国(イギリス、香港、ニュージーランドなど)でも食品安全関係当局が同様の勧告を発表しました。
日本においても、厚労省が2004年に公式に見解を示しています。その内容は以下の通り。
「継続的に毎週33g以上を摂取しない限り、WHO(世界保健機関)の暫定的耐容週間摂取量を上回ることはなく、現在の日本人の平均摂取量に照らすと、通常の食べ方では健康リスクが高まることはない。」
要約すれば、「人体へのリスクは多少あるかもしれないけど、1週間に33g未満の摂取なら大丈夫だろう。」ということです。
ちなみにこの33gは、体重50kgの成人の人を想定して算出した量です。子供の場合は、もう少し少ない量にすべきでしょう。
以上のように、ひじきには少し人体への懸念がある成分が含まれています。でもかといって、だからひじきは食べさせないほうがいい、というわけではないでしょう。
大人でいう、ワインとかに近いかもしれませんね。少量なら体にいい影響がある。飲みすぎると体にわるい。
ひじきを食卓から排除するのではなく、ひじきを通して「食べるもの」が含むメリット・デメリットを学び、将来の食習慣(アルコールなどとの付き合い方)を学ぶ機会にするのが、ベストかもしれませんね。広義の食育、といったところでしょうか。
ちなみに、「亜ヒ酸」は危険。
ちなみに、無機ヒ素のなかでも、亜ヒ酸と呼ばれる化合物は明確に危険です。
なぜなら、かつて暗殺のための薬として多用されていたからです。13世紀・14世紀あたりでしょうか。ルネサンス時代にはワインに混入させて政敵を暗殺するのに使われたりしていました。
ただ、このヒ素は入手が簡単である反面、体内に残留して簡単に検出されてしまうため「愚者の毒」という異名があります。後先考えない愚者が使いがち、ということでしょう。
また、フランスでは遺産相続にかかわる殺害に利用されることが多かったので、「相続の粉薬」といった異名もあります。
そういえば、日本では1998年に、和歌山毒物カレー事件という事件がありました。夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、4人が死亡、63人がヒ素中毒になった事件です。
これは「ヒ素カレー」と当時は報道されていましたが、そこに混入されていたのが「亜ヒ酸」です。愚者の毒が使われたわけです。
.
というわけで、今回はこのあたりで。
またお会いしましょう。