こんばんは。
本日、9月17日。
今年は366日ありますが、今日はその261日目。
そんな「9月17日」という日から、今日も少し学んで、少し考える機会にしてみましょう。
9月17日は、数学者リーマンの誕生日。
みなさん、「リーマン予想」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、ドイツの数学者であるベルンハルト・リーマンという人が提唱した数学の予想(仮説)のことです。
具体的な話は後にしますが、素数の分布に関係する数学的予想です。数学の世界ではかなり有名なものなので、知らない場合は知っておくとよいでしょう。
さて、今日はそんな「リーマン予想」というものを提唱したベルンハルト・リーマンが生まれた日です。今から約200年前の1826年9月17日に生まれました。
今日はそんなリーマンを通して、数学というものについて、少し考えてみましょう。
数学の世界には、6つの未解決問題がある。
算数や数学というと、問題が与えられて、それを考えて、解いて、解答を見て丸付けをして、なんて思いがちですが、そうやって解答のある算数・数学の問題は実はごく一部で、受験や学校教育という閉じた世界での話なんです。
実際の数学の世界は、かなりの数の未解決問題(答えが分かっていない問題)で溢れています。
そして数多くの未解決問題の中でも、数学の世界において特に重要で特に難解な未解決問題があります。それを「ミレニアム懸賞問題」と言います。
これはアメリカのクレイ数学研究所(CMI)というところが選出したもので、解決すると100万ドルの賞金がもらえます。今の日本円でいえば、約1億円ですね。
ミレニアム懸賞問題としては、もともとは7個の未解決問題が選出されていましたが、その中の1つである「ポアンカレ予想」という未解決問題はロシアの数学者グリゴリー・ペレルマンによって解決されました。
ちなみにこのペレルマン、このポアンカレ予想の解決によって数学の世界におけるノーベル賞「フィールズ賞」も受賞しています。
が、ペレルマンはミレニアム懸賞問題の賞金の受け取りも、フィールズ賞の受賞も、どちらも拒否をしています。「自分の証明が正しいのなら、賞はいらない」「有名になるといろいろ話さなければならなくなるから、それはいやだ」といったことを発言しているので、地位や名誉よりも、静かに丁寧に研究をできる環境を求めているようです。今はスウェーデンでのんびりと研究をしているらしいです。
と、なかなか脱線してしまいましたが、戻りましょう。
以上のように、数学の世界には6つの未解決問題が未だ残されています。
その中の一つが、先述の「リーマン予想」です。
リーマン予想とは?
さて、そのリーマン予想というのは、いったいどんな未解決問題なんでしょうか?
リーマン予想というものを記述すると、実は1文で表されます。こんな感じに。
リーマンゼータ関数ζ(s)の非自明な零点sはすべて、実部が1/2の直線上に存在する。
「リーマンゼータ関数?」「ζ?(読み方分からん!)」「非自明?」「零点?」「実部?」と大半の方は思うでしょう。
ちなみに、この記事の最初にある画像(グラフみたいなもの)はリーマン予想をグラフ化したものです。きっとこれもさっぱりなはずです。
ご安心ください、リーマン予想に関しては、分かることの方が無理があります。すごく難しいんです。たぶん、学校の先生でも説明できる人は少ないです。
なので、ここではその具体的な内容を深堀して説明するのではなく、このリーマン仮説がなぜ「特に重要」なのかのみに留めたいと思います。(具体的な内容の説明は、別の記事で書ければと思ってます。)
リーマン予想が、なぜ特に重要なのか?
リーマン予想がなぜ重要なのかというと、リーマン予想が解決すると、「素数の分布」が明確になるからなんです。
といっても、なかなかピンとこないですよね。ちょっと具体的な例を使って考えてみましょう。
僕らの身の回りには数字で溢れています。
たとえば、周りを見回してください。結構な確率で、何かしらの数字があったりしません?時計の数字かもしれない。カレンダーの数字かもしれない。何か雑誌や本に書いてあるかもしれない。
その数字は、すべて素数、もしくは素数の掛け算でできています。
(素数というのは、1と自分自身の数以外の約数を持たない数のことです。言い換えると、約数が2個のみの数のことです。具体的にいえば、2,3,5,7,11,13,・・・)
例えば、「12」という数字があるとします。これは、2×2×3でできている。
例えば、「512」という数字があるとします。これは、2×2×2×2×2×2×2×2×2でできている。
僕らの身の回りにある物質が、「原子」という粒の集まりでできているように、僕らの身の回りにある数字は、「素数」という数の集まりでできています。
原子を対象にした学問が化学、素数を対象にした学問が数学、ともいえるかもしれません。(少し強引ですが。)
そしてこの素数、実は詳しいことがよく分かっていないんです。
化学における原子については、かなり詳しくわかってきています。だから、化学は進歩して、僕らの生活の中でもかなり多用されるわけです。今あなたの来ている服は、化学でできています。昨日あなたが飲んだ清涼飲料水、あれも化学でできている。この間あなたが体調を崩したときに飲んだ薬、あれも化学でできています。
一方で、数学における素数については、まだ全然分かっていないんです。だから、なかなか進歩が止まってしまっている数学の分野があります。それによって、僕らの生活に活かせないものがある。
そして、その素数について分かっていないものとして最たるものが、「どういう規則で素数が並んでいるのか?」ということです。これが分かると、僕らの社会は大きくガラッと変わると言われています。そのくらいのインパクトがあるんです、数学には。
そして、先述のリーマン予想が解決すると、その「どういう規則で素数が並んでいるのか?」という最たる謎が解決すると言われています。だから、特に重要なんです。
そんなリーマン予想が提唱されたのは、1859年。先述の通り、たった1行の問題です。でも提唱されてから161年。未だに解決されていないわけです。
現代社会にあるものの大半には、算数・数学が使われている。たとえば通販。
さきほど、「数学にはそのくらいのインパクトがある」と書きました。
きっと、数学にインパクトがあると言われてもしっくりこないでしょう。
でも、さっき出てきた素数を例に出せば、少し実感できるかもしれません。
例えば、10という数字を素数の掛け算に分解(素因数分解)してくださいと言われれば、きっと「2×5」と言えるでしょう。
例えば、18という数字を素数の掛け算に分解(素因数分解)してくださいと言われれば、きっと「2×3×3」と言えるでしょう。
例えば、262996663という数字を素数の掛け算に分解(素因数分解)してくださいと言われれば、たぶんこれは無理だと思います。実はこういった問題、パソコンを使ってもかなり時間がかかります。(ちなみに答えは「419×683×919」)
こんな風に、桁数の大きい素数同士を掛け合わせた数を分解することはかなり難しいわけです。
そしてこのことを利用しているのが、例えば僕らのネット通販です。Amazonとかで買い物とかするときに、実はこのことが使われていたりします。具体的な話は別の機会に書くつもりなので割愛しますが、個人情報のやり取りの際の保護に使われているんです。
だから、もしリーマン予想が解決すると、この個人情報を保護してくれている「素数に分解することの煩雑さ」が崩れることになります。つまり、通販の仕組みも変わらなければならなくなったりします。
算数・数学は、お母さんが毎日作ってくれているご飯のようなもの。
これは社会における数学の利用例のたった一つですが、実は僕らが意識していないだけでかなりの数の数学理論がこの社会には使われています。
よく、「算数(数学)なんてやる意味あるんですか?」っていう生徒がいます。僕自身、学生時代に一時期そう思いました。だから、自分なりにかなり考えて、自分なりの答えを持っているつもりです。
なので、そういう質問をくれる生徒には、自分の答えが参考になると思うので、そこに導けるような質問を逆にしてみます。
「君のごはんを毎日作ってくれているお母さんのことなんて、どうでもいいなんて思ってる?」
もちろん、生徒は一瞬「は?」ってなります。なんなら二瞬くらい。
でも、そういうことなんです。子供のころ、母親が作ってくれたご飯は当たり前だった。でもその当たり前によって、どれだけ自分が支えられていたのか。「支えられていた」というより、「在れた」の方がたぶん正しい。
それと同じように、僕らが意識していないだけで数多くの数学理論がこの社会を支えてくれているんです。数学が利用されていないものをこの社会から捨てるとしたら、かなりの数のものがなくなります。たぶんまだ理解は仕切れないだろうけど、たぶんほとんどのものがなくなります。
そんな数学をどうでもいいというのは、「ご飯をつくってくれているお母さんなんてどうでもいい」って言っているようなものなんだろうなー、学生時代、数学をする意味を考えていたら、そんな答えにたどり着きました。
「数学者になるわけじゃないから、数学なんてやらなくていいじゃん。」
「そうだよね、料理人になるわけじゃないから、お母さんの料理なんてどうでもいいよね。」
「数学なんて社会に出ても役立たないじゃん。」
「そうだよね、お母さんのご飯なんてなくても生きていけるもんね。」
もしそうじゃないと思うなら、もう少し数学というものを考えてみたいですね。
もしくは、こういった数学の話を通して、実は今の自分を支えてくれている数多くのものについて考えられるような視点を持ちたいですね。
そんな日に、今日をしていきたいものです。
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ではでは、今日はこのあたりで。
またお会いしましょう。